大アルカナ【9.隠者】の意味と読み解き方をご紹介

タロット

キーワード:人の心の深淵を灯す一筋の光

 ランプを持った一人の老人が描かれている。ランプの中には六芒星(調和や完全のシンボル)が描かれていることから、この老人の知恵は既に完成されているもののようだ。

 実はこの老人は、タロットの『0』番だった『愚者』であるという説がある。自由と無限の可能性だけを持って旅に出た若き『愚者』は、旅先で様々な者たち(魔術師をはじめとする今まで出てきたカードの登場人物)と出会い、体験を重ねることで『愚者』にはその者たちの持つすべての知恵がついたのだ。『愚者』が放浪者を象徴していたのに対して、『隠者』は元放浪者である。さらに歳を重ねて『愚者』は『隠者』となり、自らの知識を自分だけのモノにするのではなく、悩める者を救い、迷える者を正しい道に導くことができるよう、昔の自分の姿でもある若き世代の『愚者』たちに手を差し伸べているのだ。『隠者』が手に持つランプは、無明の闇を灯す灯台になり、若き『愚者』が道を誤ることのないように、今も道を照らし続けている。

 マルセイユ版やウェイト版の『隠者』は共に左側を向いている。タロットカードにおいて、左側を向いているということは“過去”を象徴しており、『隠者』はすべての知識を得た今でも、胸の中で昔の自分や今の自分と対話をしながら、自分の魂と真理の探究をしているのだろう。しかしそれは、とても孤独な作業である。『隠者』のカードには老人以外に誰も描かれておらず、『隠者』の心と向き合っているのは『隠者』ただ一人である。すべてを悟り、すべてを分かっているのならば、孤独すらも恐ろしくないというのだろうか。『隠者』の背筋はピンと伸び、老人とは思えない姿勢の良さである。孤独な対話を内に秘めながらも、後から来る若い『愚者』を導き続けているのだ。その姿からは威厳と誇りを感じることができる。

 話は少し変わるが、エリクソンという発達心理学者の提唱した『心理社会的発達理論』の中では、人生を8つの時期に分け、一つ一つのステップに『発達課題』というものを作った。『隠者』の老人の年齢はだいたい70歳以上であろうか。60歳後半からは『高齢期』とされており、『高齢期』の『発達課題』は『自己統合か絶望』である。自分の人生は幸せだったのか?…と過去を振り返った時、「自分の人生、こんなハズじゃなかった!」と絶望するのか、「ああ、幸せな人生だった」と満足して余生を過ごすのか。後者のように満足して寿命を迎えるのに必要なものは、なんと『隠者』の象徴である『知恵』であるのだという。

 『愚者』から始まった彼の人生は、『隠者』となった彼が今まで得た知恵によって、満足して終わっていく。避けられなかった不幸も、どれだけ願っても得られなかった幸福も、『隠者』はその胸に抱え、新しい『愚者』のために最後まで道を照らして去っていくのだ。

正位置/逆位置

正位置:

思慮深い、精神的成長、真実を求める人、孤独、年配者、変り者、隠れ場所、洞察力に優れる、向上心がある、他を導く存在になれる

逆位置:

神経質、頑固、信用できない、心が狭い、疑い深い、未熟、甘え、秘密が漏れる、素直になれない、不純な動機、他人のアラさがし、時期尚早

恋愛

正位置:

密かに交際する、心で理解し合えるカップル、今後のことを考えると良い、相手を尊重できる、純愛、片思い、心のつながり、希望を見つける

逆位置:

疑心暗鬼、計算しすぎ、冷静になれない、相手を理解できない、不器用、不満をぶつけてしまう、相手を信頼できない、はっきりしない

片思い

正位置:

過去の失敗から学ぶと良い、何が障害になっているのか見極めが重要、内省する、一人の時間を作る、相手のリアクションを待つ、相手を急かさない

逆位置:

迷いすぎている、相手に分かってしまう程の愛情、自分を卑下しすぎている、環境のせいにしている、自分の殻にこもりがちになる、なかなか進展しない

相手の気持ち

正位置:

品が良い人、片思いでもいい、2人の関係をじっくり考えたい、時間が欲しい、結婚について考えている、信頼して待っていてほしい

逆位置:

口うるさい人、イライラする、頑固な人、はっきりしない人、疑り深い、放っておいてほしい、恋愛をする気になれない

仕事

正位置:

一人で地道に進めると良い、的を射た発言をすること、マイペース、デスクワークが向いている、計画的に進める、良いアイデアが浮かぶ、自分の好きなことを追求する

逆位置:

独りよがり、他人の意見を聞かないで失敗する、自分の意見を周囲に話さないで孤立する、細かいところにこだわりが強すぎる、見当違い

未来

正位置:

秘めた恋が実る、自分が正しいと思える道が見つかる、広い心が持てるようになる、相性が良い結婚、優しく見守ってくれる相手が見つかる

逆位置:

信頼が揺らぐ、自分をよく振り返ることが重要になる、結果を急いで失敗する、自信がなくなる、消極的になる、薬に頼りすぎになる

【この記事のライターさんをご紹介】

ROKUJO

Twitter:http://twitter.com/yurirokujo

昭和60年、栃木県生まれ。高校生の頃にタロット占いを独学で学び、学校の休み時間等で占いを行っていた。大学進学後も独学でタロットカードの由来等を研究する傍ら占いを続け、現在は都内某バーにて占いイベントを開催している。また、最近は本業であった公務員を退職し、ライター業と占いに専念している。

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