大アルカナ【2.女教皇「The High Priestess」】

タロット

キーワード:高い知性と深い洞察力の行きつく先は、愛に囚われた一人の女

白と黒の柱の間に静かに佇む女性。

黒い柱に書かれている『B』は『ボアズ(闇)』、白い柱の『J』は『ヤヒン(光)』を意味し、

彼女の背後にはまるで無知な者たちを拒絶するかのような聖域が広がっているようだ。

彼女が持つ文書はユダヤ人の律法書である『TORA』であり、既に現物は失われてしまっている。

彼女は自分のベールで『TORA』を半分隠している。

これは“高度な知識や学問の象徴”であると同時に、“大いなる真理は、人間などには容易に理解できない”ことを意味する。

また、胸元にある十字架や白いベールからは、彼女が修道女といった聖職に就いていることを示し、

同時に処女であることを現している。

しかし、彼女の上部にある垂れ幕に描かれている赤い実は『ザクロの果実』。実はこれは女性器を象徴している。

『女教皇』はタロットカードの中で最も謎が深いカードである。

また、実際に占い師がリーディングに困るカードでもある。

カードに描かれている物は全てアンビバレントな意味ばかり。

両極に位置する存在たちを『女教皇』は心の内に隠し、ミステリアスに微笑んでいる。

『女教皇(女法王とも呼ばれる)』はカトリックの歴史上、実は一人も存在してない。

法王になれるのは、未だに男性のみである。

彼女はどこからやってきたのか、今日までにタロットカードの研究者たちは多くの説を挙げてきた。

その一つを紹介しよう。

伝説上で“男装した聖女”がいた。彼女の名前はヨハンナ。

彼女は学問の研鑽に励み、いつしか彼女程の知識のある者はいなくなった。

まして聖書の知識で彼女を越える者はいなかった。

彼女の生活ぶりと学芸の高さは市中で評判になり、彼女はローマ教皇の地位まで登りつめることとなった。

しかし、彼女には好きな男性がいた。

そして、その男性との子どもを妊娠してしまう。

ある日、教皇行列のさなかに彼女は産気づき、その子を出産してしまった。

民衆の前でヨハンナが男装の女性であったことが白日の下にさらされてしまった。

ローマの正義(男装はキリスト教やユダヤ教の教義ではご法度)により、

彼女は馬の尻尾に足をくくりつけられて引きずられ、人々から石を投げつけられ死亡した。

彼女は死んだ場所に儀礼抜きで埋葬された。ヨハンナは愛に心を奪われたことで失脚した。

誰もが羨む高い知識や、民衆が認める人格を持っていてもなお、愛に囚われた。

『女教皇』は“プラトニック”という意味合いを持つことがある。

『女教皇』の元ネタにヨハンナの説を支持するのであれば、なんとも皮肉な話である。

プラトニックの行きつく先は破滅なのか。

それとも、ヨハンナの伝説は単なる反面教師なのか。

どれほど高い知識も、人格でさえも、“愛”というバケモノには敵わなかった。

優れた叡智からなる洞察力で、彼女は今何を思うのだろう。

本当は既に分かっているのかもしれない。

“大いなる真理は、人間などには容易に理解できない”と。

今日も『女教皇』はミステリアスな微笑みで私たちを視ている。

正位置/逆位置

正位置

頭がきれる人、清楚、判断力、感受性が強い、慎重、鋭い分析、しっかりとした考えを持つ、物静か、外見の美しさよりも清潔さ

逆位置

冷淡、無神経、落ち着きがない、出しゃばり、底の浅い人、意地っ張り、プライドが高い、自己中心的、無知、頑固、神経質

恋愛

正位置

プラトニックな恋愛、告白は手紙が良い、知的なカップル、品の良い人を選べ、一目惚れではない、心から思い合う関係

逆位置

潔癖すぎる、慎重すぎてチャンスを逃す、ヒステリック、わがまま、欠点ばかり見えてしまう、批判的、神経質すぎる

片思い

正位置

お互いを理解し合えている、知的な会話が重要、誠意をみせる、シンプルなメイクが良い、今は現状のままで動かない恋愛

逆位置

心を開くことができない、コンプレックスから行動できない、偏見をもつ、自分からチャンスを遠ざけている

相手の気持ち

正位置

知性と教養がある人、控えめ、神秘的な人、なかなか前に進めない、プラトニック、冷静で思慮深い人、人間として尊敬している、遠くから眺めているだけで幸せになる人

逆位置

わがままで未熟、すれ違いが多い、不感症、イライラする、欠点ばかり目に付く、プライドが高い人、潔癖、そもそも眼中にない、ピリピリした関係

仕事

正位置

責任感が強い、頭の回転が早い、専門分野を探求せよ、先生や学者向き、最後は自分の感性を信じよ

逆位置

できるフリをしている、手抜き、スランプ、自信がありすぎて失敗する、向上心がない、仕事と体力のバランスを崩している

未来

正位置

ゆとりのある生活、直感を信じると良い、冷静な判断、出しゃばり過ぎないようにすると良い、精神的な結びつきを作る

逆位置

分析ばかりで行動が遅れる、悲観的、他人を受け入れられない、閉鎖的、自分から心を開いていくと良し、傷つくことを恐れる、ヒステリックになる

【この記事のライターさんをご紹介】

ROKUJO

Twitter:http://twitter.com/yurirokujo

昭和60年、栃木県生まれ。高校生の頃にタロット占いを独学で学び、学校の休み時間等で占いを行っていた。大学進学後も独学でタロットカードの由来等を研究する傍ら占いを続け、現在は都内某バーにて占いイベントを開催している。また、最近は本業であった公務員を退職し、ライター業と占いに専念している。

タイトルとURLをコピーしました